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精神障がい者手帳はどのような人がもらえる? 発行の流れやメリット・注意点を徹底解説

精神的な不調や疾患によって、日常生活や仕事に支障を感じている方の中には、「精神障がい者保健福祉手帳」の取得を検討する方もいるのではないでしょうか。

とはいえ「自分は手帳の対象になるのか」「取得するとどのようなサービスが受けられるのか」「申請から発行までどのくらいかかるのか」など、不安や疑問を抱える方も多いはずです。

本記事では、精神障がい者保健福祉手帳の取得条件や対象となる疾患、等級の違い、申請から交付までの流れ、実際に受けられる支援や注意点までを網羅的に解説します。

制度に関する専門的な内容も、できる限り分かりやすく整理していますので、これから申請を考えている方や、ご家族・支援者の方にも参考にしていただける内容です。

精神障がい者保健福祉手帳とは?

精神障がい者保健福祉手帳は、精神保健及び精神障がい者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づき、精神疾患により日常生活や社会生活に制約がある方を対象として交付される公的な証明書です。

一定程度の精神障がいの状態があることを医師の診断等で確認し、自治体が発行します。この手帳は、支援制度を利用しやすくするためのものであり、本人の自立や社会参加を後押しする役割を果たします。

手帳を持つことの意義

精神障がい者保健福祉手帳は、精神障がいのある方が社会的に理解や配慮を得やすくなるための「公的な証明」として機能します。職場や公共機関などで、必要な配慮や合理的な対応を求める際の後ろ盾となることもあります。

また障害者総合支援法に基づく福祉サービス(例:通所支援、就労支援、相談支援など)や、自治体・交通機関・公共施設等が提供する割引・優待などの各種サービスを利用しやすくなることも、手帳を持つ意義です。結果として、生活の負担が軽減され、より安心して地域社会の中で暮らすことが可能になります。

精神障がい者手帳の対象となる方と条件

精神障がい者保健福祉手帳(以下、精神障がい者手帳)は、精神疾患によって生活に制約を受けている方に対して交付される公的な証明書です。障がい福祉サービスや税制優遇など、さまざまな支援を受けやすくなります。ここでは、手帳の交付対象となる具体的な条件や、対象となる精神疾患の例を詳しく解説します。

手帳交付の基本的な条件

精神障がい者手帳の交付を受けるには、以下の全ての条件を満たしている必要があります。

  • ・何らかの精神疾患があること(うつ病や統合失調症、発達障がい、てんかんなど)
  • ・精神疾患により、日常生活または社会生活に長期間の支障が生じていること
  • ・診断書による申請の場合は、精神疾患の初診日から6カ月以上が経過していること

なお、知的障がいについては別制度(愛の手帳等)の対象であり、精神障がい者手帳には該当しません。

対象となる主な精神疾患の例

精神障がい者手帳の対象となる疾患は、下記の通りです。

統合失調症

統合失調症は、幻覚や妄想、思考障がいなどを伴う慢性の精神疾患です。発症は思春期から青年期に多く、症状によっては日常生活の自立が困難になるケースもあります。

気分(感情)障がい(うつ病、双極性障がいなど)

うつ病や双極性障がいなどの気分障がいは、意欲や感情、思考に強い影響を及ぼします。仕事や対人関係が困難になり、繰り返すことで社会生活に大きな支障が出る場合があります。

てんかん

てんかんは突発的な発作を繰り返す神経疾患であり、発作の種類や頻度によっては通勤・通学が困難になることがあります。また記憶障がいや注意障がいなどを伴うケースもあり、社会生活上の制約が生じやすい疾患です。

薬物やアルコールによる依存症

アルコールや薬物の依存が進行すると、認知機能の低下や感情のコントロールが難しくなり、社会的な適応が困難になります。一定期間以上、生活への支障が継続している場合に対象となることがあります。

高次脳機能障がい

事故や病気による脳の損傷により、記憶や注意、判断力に障がいが出るのが高次脳機能障がいです。一見すると外見からは分かりにくいため誤解されがちですが、日常生活での意思決定や対人関係に大きな影響を及ぼすことがあります。

発達障がい(自閉スペクトラム症、学習障がい、注意欠如・多動症など)

発達障がいは、幼少期から特性として現れ、対人関係や学習、注意・集中に困難を伴います。社会生活の中で周囲との摩擦や適応困難が生じやすく、就労・通学・人間関係など広範な分野に影響を与えます。

その他の精神疾患

不安症や強迫性障がい、心的外傷後ストレス障がい(PTSD)など、ICD-10分類に基づいて広く精神疾患が対象となります。診断の有無だけではなく、生活への具体的な影響も交付要件に関わるため、個別の状況に応じて判断されます。

手帳の等級(1級・2級・3級)と判定基準

精神障がい者手帳は、障がいの程度に応じて「1級」「2級」「3級」のいずれかに認定されます。等級によって受けられる支援の内容も異なるため、制度の概要を正しく理解しておきましょう。ここでは、等級の判定方法と、それぞれの基準や状態の目安について詳しく解説します。

※参考:厚生労働省.「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1 ,(参照 2025-07-03).

等級判定の基本

精神障がい者手帳の等級は、以下の3つの観点から総合的に判断されます。

  • ・精神疾患の存在と状態(機能障がいの程度)
  • ・日常生活や社会生活における支障(活動制限の程度)
  • ・医師が記入する「精神障がい者保健福祉手帳用診断書」の記載内容

等級の判定は、厚生労働省が定めた「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準」に基づいて行われ、精神症状と生活能力の両面から慎重に審査されます。

1級の判定基準と状態の目安

1級は、重度の精神障がいとされ、次のような状態にある方が該当します。

【厚生労働省の基準】

日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

【状態の目安(例)】

  • ・身の回りのこと(食事・入浴・清潔保持など)がほとんど自分ではできず、常時援助を必要とする
  • ・会話での意思疎通が著しく困難
  • ・外出や通院などにも付き添いが必須

入院または在宅での生活の中でも常時介助が必要なレベルであり、精神症状が強く現れているケースです。

2級の判定基準と状態の目安

2級は、日常生活に著しい制限がある中等度の精神障がいに対して交付されます。

【厚生労働省の基準】

日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

【状態の目安(例)】

  • ・身の回りの生活には援助が必要で、一人での外出や買い物、対人関係の構築が難しい
  • ・通院や服薬管理にも支援が必要
  • ・就労が著しく困難、あるいはできてもごく限られた範囲にとどまる

基本的な生活動作はできても、安定した社会生活を送るのが難しい状態を指します。

3級の判定基準と状態の目安

3級は、比較的軽度な障がいとされますが、一定の支援が必要な状態にあります。

【厚生労働省の基準】

日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

【状態の目安(例)】

  • ・日常生活は概ね自立しているが、対人関係や計画的な行動が苦手
  • ・通院や服薬の継続に多少の支援が必要な場合もある
  • ・ストレスへの耐性が低く、就労には配慮や短時間勤務などの支援が求められることもある

社会参加は可能であっても、環境や支援体制によって状態が左右されやすいレベルです。

申請から発行までの流れ

精神障がい者保健福祉手帳を取得するには、一定の手続きを踏む必要があります。申請書類の準備から手帳の交付までには一定の時間を要するため、事前に流れを理解しておくことが大切です。ここでは、申請から交付までの各ステップについて詳しく解説します。

主治医への相談・情報収集

まずは現在通院している主治医に、手帳の申請について相談します。医師の見解により、申請の可否や等級の見込みについてアドバイスを受けられる場合があります。

併せて、市区町村の障がい福祉担当窓口や保健所、精神保健福祉センターなどで制度の詳細を確認しましょう。申請に必要な書類一式(申請書、診断書の様式など)も窓口で入手できます。

診断書の取得

申請には、「精神障がい者保健福祉手帳用診断書」が必要です。主治医に依頼して作成してもらいましょう。ただし、初診日から6カ月以上が経過していないと申請できない点に注意が必要です。

診断書の作成には数日〜数週間かかることもあり、費用(数千円前後)も自己負担です。

申請書類の準備・提出

自治体によって若干異なりますが、申請時には以下のような書類が必要です。

  • ・精神障がい者保健福祉手帳用の診断書(または障がい年金証書の写し等)
  • ・申請書(自治体様式)
  • ・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • ・顔写真(縦4cm×横3cm程度が一般的)

お住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口に提出します。郵送対応が可能な自治体もあるため、事前に確認しておきましょう。

審査・判定

提出された書類を基に、精神保健福祉センターなどの専門機関が障がいの程度を審査し、等級を判定します。判定は「精神疾患の状態」と「日常生活への影響」の両面から総合的に行われます。

なお、審査を担当する機関や審査期間は自治体によって異なります。一般的には、申請から交付までに1〜2カ月程度かかることが多いとされています。

手帳の交付

審査の結果、交付が決定された場合には、申請者本人に手帳が交付されます。原則として窓口での受け取りとなりますが、自治体によっては郵送対応を行っている場合もあります。

もし認定基準を満たさず非該当となった場合は、その旨の通知が届きます。再申請や不服申し立てについても、必要に応じて相談窓口で確認しておくと安心です。

申請に必要な主な書類

精神障がい者手帳を申請する際には、いくつかの書類をそろえる必要があります。準備する書類は自治体によって若干異なる場合がありますが、以下に一般的に求められる主な書類を紹介します。

申請書(障がい者手帳申請書)

精神障がい者手帳の申請には、所定の申請書が必要です。住民票のある市区町村の障がい福祉担当窓口で入手するほか、自治体の公式Webサイトからダウンロードできる場合もあります。

申請書には、氏名・住所・申請内容などを記入し、必要事項に署名・押印をします。

診断書(精神障がい者保健福祉手帳用)

主治医が作成する「精神障がい者保健福祉手帳用の診断書」が必要です。これは厚生労働省が定めた専用の様式に基づいており、有効期限は提出時点で作成日から3カ月以内です。

なお、すでに精神障がいを理由とした障がい年金(障がい基礎年金または障がい厚生年金)を受給している場合は、年金証書の写しと年金振込通知書などの提出により、診断書を省略できることもあります。

本人の写真

手帳には本人の顔写真が貼付されます。写真の要件には以下のような規定があります。

  • ・サイズ:縦4cm × 横3cmが一般的
  • ・脱帽・無背景・上半身の正面からの撮影
  • ・撮影日が申請から1年以内のもの

写真館で撮影しても、証明写真機の利用でも問題ありません。

本人確認書類・マイナンバー関連書類

本人確認のために、以下のいずれかの書類が求められます。

  • ・マイナンバーカード(個人番号カード)
  • ・運転免許証
  • ・健康保険証
  • ・パスポートなど

またマイナンバーの記載を求められることもあり、通知カードや個人番号記載の住民票が必要となる場合もあります。詳細は、各自治体の窓口で確認してください。

申請から発行までの期間の目安

精神障がい者手帳の申請から実際に手帳が交付されるまでには、概ね1カ月半から3カ月程度かかるのが一般的です。

期間が前後する要因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・診断書の内容の確認や精査にかかる時間
  • ・申請書類に不備があった場合の再提出
  • ・審査機関(精神保健福祉センター等)の混雑状況

不安がある場合は、申請先の窓口に進捗状況を確認することも可能です。

手帳の取得によるメリット

精神障がい者手帳を取得することで、さまざまな支援や制度の利用が可能になります。ここでは、主なメリットを分野別に紹介します。

税金の控除・減免を受けられる

精神障がい者保健福祉手帳を持っていると、所得税や住民税などの税負担を軽減する「障がい者控除」を受けることができます。

控除は手帳を所持している本人だけではなく、対象となる扶養親族に該当する場合にも適用されます。例えば、1級所持者であれば、特別障がい者控除としてより大きな控除額が認められます。

さらに、障がい者が相続人である場合には、相続税の障がい者控除が適用されることがありますし、障がい者が財産を受け取る際には、贈与税の非課税枠が広がることもあります。また自動車を所有・使用している場合には、自動車税や軽自動車税、自動車取得税の減免を受けられる制度もあり、等級や使用者、用途によって対象が決まります。

公共料金などの割引を受けられる

精神障がい者手帳を提示すると、公共料金や交通機関の割引が適用される場合があります。例えば、JRや私鉄、バス、タクシーなどでは、本人や介助者を対象とした障がい者割引運賃が用意されています。

高速道路についても、事前に申請してETCカードを登録すれば、通行料金が割引されます。さらに、上下水道料金や携帯電話料金を減額している自治体や通信事業者もあるなど、対象となるものはさまざまです。

こうした割引制度の対象や条件は、等級や地域、事業者によって異なるため、各窓口や公式サイトなどで最新の情報を確認しておくことが大切です。

福祉サービス・医療費助成を受けられる

精神障がい者手帳を取得していると、障がい福祉サービスの対象者として認定されやすくなります。例えば、就労を目指す方には就労移行支援や就労継続支援A型・B型といった制度があり、生活訓練や自立訓練、グループホームでの支援、相談支援事業なども利用可能です。

これらの福祉サービスを受けるには、手帳の提示に加えて、市区町村からの支給決定を受ける必要があります。

また自治体によっては、精神疾患に関する通院医療費の助成制度を独自に設けており、所得や等級に応じて医療費の自己負担額が軽減されます。

障がい者雇用枠での就職・転職活動ができる

精神障がい者手帳を所持していると、企業の障がい者雇用枠での就職活動が可能になります。これは障がい者雇用促進法に基づく制度で、企業側には障がい者の採用義務があるため、手帳を提示することで応募しやすくなります。

また障がい者雇用枠では、通院や服薬の配慮、静かな職場環境の確保、勤務時間の柔軟な調整など、就労上の合理的配慮を受けやすくなります。ハローワークには障がい者専門の相談窓口が設けられており、履歴書の書き方や面接の準備などのサポートを受けることも可能です。

就職後には、職場定着支援やジョブコーチによるサポートを受けられる制度も整っており、働き続けるための支援体制も充実しています。

手帳を持つ上での注意点

精神障がい者手帳を持つことに対して、他人に知られることへの不安を感じる人もいます。しかし、手帳の提示は本人の意思に基づくもので、必要のない場面で無理に開示する必要はありません。誰にどこまで伝えるかは、自分で選ぶことができます。

また3級の手帳を取得した場合、受けられる支援が少ないと感じることがあるかもしれませんが、税の控除や就労支援など、日常や将来に役立つ制度は多くあります。

大切なのは、手帳をどのように活用するかを自分なりに考え、必要に応じて専門機関に相談しながら情報を集めることです。

まとめ

精神障がい者手帳は、精神的な困難のある方が必要な支援を受け、自分らしく生活していくための制度の一つです。税制優遇や医療費助成、就労支援など、等級に応じたさまざまなメリットがありますが、一方で、活用に際しては個々の状況に応じた判断も求められます。

大切なのは、手帳を持つことの意味を正しく理解し、自分にとって必要かどうかを考えることです。不安や疑問がある場合は、一人で抱え込まず、主治医や市区町村の窓口、ココルポートのような就労移行支援事業所のような専門機関に相談することをおすすめします。

ココルポートでは、障がい者手帳を活用した就職活動や定着支援まで一貫してサポートしています。適切な情報と支援を得て、自分らしい生活を築いていくための一歩を踏み出しましょう。

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