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就労移行支援の利用料とは? 発生する条件や計算方法、補助制度なども徹底解説
公開日:2026/02/19
更新日:2026/02/19

「就労移行支援を利用したいけれど、費用はどのくらいかかるのだろう」「無料で使える制度はあるのかな」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
就労移行支援は、障がいや病気がある方が安心して就職を目指せるよう支援する公的制度であり、条件を満たせば無料または少ない自己負担で利用できます。
この記事では、就労移行支援の基本的な仕組みと対象者、利用料の計算方法と上限額の考え方、金銭的な負担を減らすための補助制度などを詳しく解説します。費用面の不安を解消し、安心して支援を受けるための参考にしてください。
目次
就労移行支援とは?

就労移行支援は、病気や障がいのある方が一般企業への就職を目指すために、専門的な訓練や支援を受けられる福祉サービスです(※)。主に就労移行支援事業所に定期的に通い、職業訓練や面接対策、ビジネスマナー、パソコン操作など、働くために必要なスキルを段階的に学びます。
国や自治体が支援しており、利用者の経済的負担を軽減できる仕組みになっています。多くの場合、所得に応じて自己負担額が設定されており、条件を満たせば無料で利用することも可能です。
また、就職後も安定して働き続けられるよう、定着支援や職場環境の調整など、継続的なフォローアップも行われます。単に「就職する」だけでなく「長く働き続ける力を育てる」ことを目的とした支援が特徴です。
※参考:厚生労働省.「就労移行支援事業」.
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/shingikai01/pdf/5-2i.pdf ,(参照2025-11-27).
対象となる人の条件
就労移行支援の対象となるのは、一般企業への就職を希望する身体障がい・知的障がい・精神障がい、または難病がある65歳未満の方です。主に就職に必要な知識や技術を身に付けたい方や、就職活動のサポートを必要とする方に向けられた制度です。
この制度では障がい者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書の提出により、支援の対象となることがあります。例えば精神疾患や発達障がいのある方は、診断書・自立支援医療受給者証・障がい者手帳のいずれかを提示し、自治体から障がい福祉サービス受給者証を発行してもらうことで利用できるケースが一般的です。
※参考:厚生労働省.「就労移行支援について」.
https://www.mhlw.go.jp/content/12204500/3b.pdf ,(参照2025-11-27).
※参考:厚生労働省.「障害者総合支援法における障害支援区分 医師意見書記載の手引き」.
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/202103ishiikensyotebiki ,(参照2025-11-27).
※参考:厚生労働省.「障害者福祉施設における就労支援の概要」.
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11801000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Soumuka/0000032713.pdf ,(参照2025-11-27).
利用できる期間
就労移行支援の利用期間は、原則として2年間です。その期間内で、利用者は就職に向けた訓練や実習、職場探しなどを行い、一般就労の実現を目指します。
2年の利用期間内に就職が難しい場合でも、市町村が開催する審査会において合理的な理由が認められれば、最大1年間の延長が可能です。例えば病状の回復に時間を要したケースや、就職活動の最終段階で支援が必要なケースなどが該当します。
また利用期間内でやむを得ず通所を中断した場合でも、市町村が必要と判断した際は利用期間を超えて就労移行支援を受けられます。そのため体調不良や家庭の事情などで一時的に通えなくなった場合でも、事情によっては訓練を続けることが可能です(※1)。
就職が決まった後は「就労定着支援」に移行できます(※2)。これは就職後6カ月経過後から最長3年間、職場での人間関係や体調管理、業務面での課題に対するフォローを受けられるものです。
※1参考:厚生労働省.「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」.
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/dl/jimu_h26-03.pdf ,(参照2025-11-27).
※2参考:厚生労働省.「障害者の就労支援について」.
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000794737.pdf ,(2021-06-21).
給料の有無
就労移行支援の利用中は、原則として給料や工賃といった報酬は支給されません。就労移行支援事業所は、一般企業での就職を目指すために必要な知識やスキルを身に付ける「訓練の場」であるからです。「就労継続支援A型・B型」といった制度もありますが、こちらは実際の生産活動に従事しその対価として賃金や工賃が支払われる仕組みのため、就労移行支援とは性質が異なります(※)。
就労移行支援では原則として賃金や工賃が発生することはありませんが、例外として一部の事業所では、実践的な作業訓練の一環として「工賃」が支払われるケースもあります。ただし、金額はごくわずかであり、収入を目的とした利用には適していません。
また就労移行支援を利用しながらのアルバイトは、訓練や体調管理を優先するために原則として禁止されています。自治体によっては特例として許可される場合もありますが、その際は必ず事業所や自治体に相談する必要があります。
※参考:厚生労働省.「障害者の就労支援について」.
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000794737.pdf ,(2021-06-21).
就労移行支援の利用料の基本

就労移行支援は、国や自治体の助成により多くの方が無料または少ない自己負担で利用できる福祉サービスです。しかし実際には一定の条件を満たさない場合に、就労移行支援の利用料が発生することがあります。利用料の仕組みは世帯収入や自治体の基準によって異なり、上限額も定められているため、事前に確認しておくことが大切です。
ここでは、就労移行支援にかかる利用料の基本的な仕組みと、その算定方法について解説します。
利用料が発生する条件
就労移行支援は、利用者の経済的な状況に応じて利用料が設定されます。生活保護を受給している世帯や、市町村民税が非課税の世帯に該当する場合は、自己負担額が0円となり、無料で通所することが可能です。
一方で、これらの条件に該当しない場合は、自己負担額が発生します。
※参考:厚生労働省.「障害者の利用者負担」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html ,(参照2025-11-27).
事業所ごとの利用料の決まり方
自己負担額が発生する場合、事業所の運営内容、就労定着率などによって変動するのが特徴です。
例えば就職者の定着率が高い事業所ほど、1日当たりの利用料がやや高く設定される傾向にあります。ただし、ひと月当たりの上限額が設けられているため、利用者が過度な負担を強いられることはありません。
利用料の上限負担額
就労移行支援の利用料には「負担上限月額」が定められており、利用回数が多くてもその月に支払う上限を超えることはありません。上限額は前年の世帯収入に基づき、以下のような基準が設けられています(※)。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
| 生活保護世帯 | 生活保護を受給している世帯 | 0円 |
| 低所得世帯 | 市町村民税が非課税の世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外の世帯 | 37,200円 |
ここでいう「世帯収入」は本人および配偶者の収入を指し、親など別世帯の収入は含まれません。
※参考:厚生労働省.「障害者の利用者負担」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html ,(参照2025-11-21).
就労移行支援の利用料の計算方法
前述の通り、就労移行支援には「負担上限月額」が設定されているため、月の合計金額がこの上限を超えることはありません。そのため通所回数が多くても、支払い金額は一定の上限で抑えられる仕組みになっています。
1回当たりの自己負担額が10,000円で、月に10回利用した場合の利用料は以下のように計算されます。
この金額と「負担上限月額」を比較し、以下のように決定されます。
- 世帯年収が所得割16万円未満に当たる約500万円の場合(負担上限月額:9,300円)
1カ月の利用料が100,000円であっても、実際の支払は9,300円です。
- 世帯年収が所得割16万円を超える約700万円の場合(負担上限月額:37,200円)
1カ月の利用料が100,000円であっても、実際の支払は37,200円です。
このように、就労移行支援では所得に応じた上限設定があるため、安心して利用を継続できます。
※参考:厚生労働省.「障害者の利用者負担」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html ,(参照2025-11-21).
就労移行支援で利用料以外にかかる費用
就労移行支援の利用に当たっては、前述の利用料以外にも一定の費用が発生する場合があります。
日々の通所や訓練を円滑に進めるためには、交通費・食費・医療費などの実費負担を想定しておくことが大切です。ここでは、利用料以外にかかる代表的な費用について解説します。
交通費・食費
就労移行支援事業所までの交通費は、原則として自己負担となります。自宅から事業所までの距離や利用する交通手段によって金額は異なりますが、定期的に通う場合は月々の出費として考慮しておく必要があります。
また通所中の昼食代も自己負担となるケースが一般的です。
医療費
通所期間中にかかる医療費も、利用料とは別に必要となる費用の一つです。特に通院や服薬管理を継続しながら訓練を受ける場合、診察代や薬代といった医療関連費が発生します。
こうした医療費は個々の通院状況によって金額が変わるため、通所期間中の医療費がどの程度かかるのかを事前に確認しておきましょう。
金銭的な負担を軽減するための補助制度
自治体や社会福祉協議会では、就労移行支援の利用に伴う負担を減らすためのさまざまな補助制度が設けられています。
就労移行支援を利用すると、交通費・食費・医療費など日常の出費が増えることもあるため、こうした制度を活用すると負担を軽くしやすくなるでしょう。ここでは、代表的な制度について紹介します。
交通費・食費・医療費の助成制度
前述の通り、就労移行支援事業所に通う際の交通費は、原則として自己負担となります。しかし、一部の自治体では経済的な理由などで通所が困難な方を支援する目的で、交通費の一部または全額を助成する制度を設けている場合があります。
また通所中の食費についても、事業所によっては昼食を無料または低価格で提供しているケースがあります。
これらの助成制度は自治体や事業所ごとに条件が異なるため、利用を検討する際は事前に確認しておくと安心です。自治体の福祉課や就労移行支援事業所に問い合わせることで、該当制度の有無や申請方法を確認できます。
さらに一部の自治体では、心身障がい者医療費助成制度などを通じて医療費の自己負担を軽減できる場合もあります。医療費が家計に負担となる場合は制度を活用することで、経済的な負担を抑えながら安心して支援を受けられるでしょう。
※参考:東京都福祉局.「心身障害者医療費助成制度(マル障)」.
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/marusyo ,(参照2025-11-27).
総合支援資金制度
「総合支援資金制度」は、生活が一時的に困難になった方に対して、無利子または低利子で生活資金を貸し付ける制度です。社会福祉協議会が窓口となっており、生活福祉資金貸付制度の一部として実施されています。
この制度は低所得世帯や障がい者世帯、高齢者世帯など、一定の条件を満たす方が対象です。貸付限度額は以下の通りです。
単身世帯:月15万円以内 × 原則6カ月分(※初回申請期間は原則3か月以内とし、状況により延長可)
2人以上の世帯:月20万円以内 × 原則6カ月分(※初回申請期間は原則3か月以内とし、状況により延長可)
なお利子は、連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%の低金利で利用可能です。コロナウイルスの流行期間中などの特定の期間には、一律で無利子となる措置が取られることもあります。
就労移行支援の利用を継続する上で、生活費や交通費の工面が難しい場合には、総合支援資金制度を活用することで、経済的な不安を軽減しながら安心して訓練に取り組むことができます。
※参考:東京都社会福祉協議会.「総合支援資金のご案内」.
https://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/documents/2019sougousiensikin.pdf ,(参照2025-11-27).
※参考:厚生労働省.「生活福祉資金貸付制度」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html ,(参照2025-11-27).
※参考:厚生労働省.「生活福祉資金の特例貸付」.
https://corona-support.mhlw.go.jp/seikatsufukushi/general/index.html ,(参照2025-11-27).
障がい年金制度
就労移行支援を利用しながらでも、障がい年金の受給は可能です。
障がい年金は、病気や障がいによって長期間にわたり働くことが難しい人に対して支給される公的年金制度であり、受給条件には「就労移行支援を利用していないこと」という制限は設けられていません。
障がい年金の受給には、初診日の年齢や年金制度の加入状況によって要件が異なります。いずれの場合も原則として障がい認定日に、1級または2級の障がいの状態に該当しているかどうかが基準となります。20歳前の傷病による場合は所得制限を満たすこと、年金制度に加入していた場合は一定期間の保険料納付があることなどが条件となります。
就労移行支援を利用しながら障がい年金を受け取ることで、経済的な安定を保ちつつ、無理のないペースで就職を目指すことができます。
※参考:厚生労働省.「障害年金制度」.
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001112704.pdf ,(2023-06-26).
障がい者手帳
障がい者手帳は、障がいの内容や程度を公的に証明するための手帳であり、就労移行支援を利用する際にも重要な書類の一つです。障がい者手帳を持っていることで、障がいの状態を証明する書類として利用申請がスムーズになる他、各種の優遇制度も受けられます。
例えば公共交通機関の運賃割引、税金の控除、公共施設の利用料減免などの支援を受けられる場合があります。これらの制度は自治体によって内容が異なるため、居住地の福祉課や障がい福祉センターで確認すると良いでしょう。
※参考:厚生労働省.「障害者手帳」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html ,(参照2025-11-27).
失業保険(求職者給付)
就労移行支援を利用している間でも、条件を満たせば失業保険(求職者給付)を受け取ることが可能です。
失業保険を受け取るには「失業状態であること」「働く意思と能力があること」などの要件を満たす必要があり、ハローワークで受給認定を受けなければなりません。就労移行支援は「一般就労を目指すための訓練」であるため、就職活動の一環として扱われ認定を受けられる可能性が高いです。受給が認められれば訓練中でも失業給付を受け取りながらスキルを身に付けられます。
ただし、手続きの詳細は自治体やハローワークによって異なるため、事前に相談して確認しておくと安心です。
※参考:厚生労働省.「離職されたみなさまへ」.
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf ,(参照2025-11-27).
高額障がい福祉サービス等給付費
同一世帯内で複数の障がい福祉サービスや児童福祉サービスを利用している場合、自己負担額の合計が上限月額を超えた分については「高額障がい福祉サービス等給付費」として支給されます。
例えば家族の中に就労移行支援を利用している方と放課後等デイサービスを利用しているお子さんがいる場合、それぞれの利用料の合計が上限額を超えると、その超過分が返還(還付)されます。
ただし、支給を受けるためには自治体への申請手続きが必要です。支給を受けられるかどうかや申請の流れについては、事前に市区町村の福祉担当窓口で確認しておくと良いでしょう。
※参考:厚生労働省.「障害者の利用者負担」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html ,(参照2025-11-27).
まとめ
就労移行支援は、障がいや病気のある方が自立して働く力を身に付けるための大切な制度です。利用料は所得や世帯構成によって変動しますが、多くの方が無料または少ない自己負担で利用できます。また交通費助成や総合支援資金、障がい年金など、金銭的な負担を軽減できる制度も充実しています。
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