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社交不安症(社交不安障がい)の人に向いている仕事|仕事選びのポイントや長く仕事を続けるための方法を解説

社交不安症があると、「自分にできる仕事があるのか」「職場の人間関係に耐えられるだろうか」といった不安から、就職や転職に踏み出せない人もいるのではないでしょうか。

本記事では、社交不安症とはどのような状態かを分かりやすく解説した上で、向いている仕事の特徴や具体的な職種、仕事選びのポイント、長く働き続けるための工夫を紹介します。

社交不安症とは?

社交不安症(Social Anxiety Disorder:SAD)は、人前で話す、注目される、初対面の人と接するなどの「対人場面」に強い不安や恐怖を感じてしまう精神疾患です。「社交不安障がい」とも呼ばれ、不安症の一種に分類されます。

不安を感じると、赤面、発汗、動悸、手の震えといった身体症状が現れやすく、場面によっては逃げ出したくなるほどの強い緊張に襲われることもあります。

原因は解明されていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミン、GABA(γ-アミノ酪酸)の働きの異常が関係していると考えられています。

その他の不安障がい

不安障がいには、社交不安症の他にも下記のような種類があります。

  • ・パニック症
  • ・強迫症(OCD)
  • ・全般性不安症(GAD)

パニック症は、予期せぬ強い恐怖や不安が発作的に現れる疾患です。息苦しさやふらつき、多量の発汗などの身体症状を伴う場合があります。

強迫症(OCD)は、「手が汚れている気がする」「鍵を閉め忘れたかも」といった強迫観念にとらわれ、手洗いや確認行為などの強迫行動を繰り返してしまいます。無意味だと分かっていても止められないのが特徴です。

全般性不安症(GAD)は、日常のさまざまな出来事に対して過剰な不安や心配が生じる状態です。明確な理由がないにもかかわらず、「何か悪いことが起きるのでは」と不安を感じます。

社交不安症の人が仕事で困るシーン

職場では「人との関わり」を避けることが難しいため、不安や緊張を強く感じる場面が多くあります。

例えば、電話対応では「言葉を噛んだらどうしよう」「聞き返されたら恥をかくのでは」といった思いが先行し、電話に出ることを大きな負担に感じます。

また会議や朝礼で発言を求められる場面では、人前で話すことへの恐怖心から、頭が真っ白になったり、声が震えたりしてしまうことも少なくありません。

さらに、初対面の取引先との会話や名刺交換でも、「変に思われないか」「失礼になっていないか」などと過度に心配し、極度に緊張する場合があります。

社交不安症の人に向いている仕事の特徴

社交不安症の人にとって、日常的に人と関わる業務や、突発的な対応が求められる仕事は大きなストレス要因です。そのため、なるべく人との接触を避け、自分のペースで働ける職場環境や業務内容を選ぶことが大切です。

以下に、社交不安症の人に比較的向いているとされる仕事の特徴を紹介します。

一人で集中できる作業が多い仕事

人と頻繁に関わる必要がある業務では、その都度不安や緊張が高まり、精神的な疲労が蓄積しやすくなります。一方で、黙々と取り組める作業や、他者とのやり取りが最小限で済む仕事は対人ストレスを感じる場面が少ないため、心身への負担を抑えることが可能です。

例えば、データ入力やライティング、清掃業務、倉庫内作業などがあります。

在宅勤務やリモートワークが可能な仕事

オフィスや現場など、人が多く集まる場所にいるだけで、緊張や不安が高まってしまうことがあります。自分とは関係のない会話や視線でさえも気になることもあるため、自宅で落ち着いて作業ができる在宅勤務やリモートワークであれば、症状を抑えることが可能です。

在宅勤務やリモートワークは、IT系やクリエイティブ系、事務の一部などさまざまな業種で導入が進んでいます。

日によって業務内容や量が変わりにくい仕事

その日によって業務の内容や負担が大きく変動する職場では、次に何が起こるか分からないという不安が常につきまとい、心身に大きな負荷を与えることがあります。

反対に、ルーティン化された作業や、一定のスケジュールで進められる仕事であれば、見通しが立ちやすいため、社交不安症の人が取り組みやすい傾向があります。事務作業や製造補助などが該当します。

強いプレッシャーなどのストレスが少ない仕事

強いプレッシャーの中での作業や、ミスが許されない環境では、社交不安症の症状が悪化することがあります。そのため、余裕のあるスケジュールで動ける職場や、確認体制が整っていて失敗のリスクが分散される業務であれば、精神的に安定しやすいでしょう。例えば、軽作業やサポート業務などがあります。

社交不安症の人に向いている仕事

社交不安症の人にとって、仕事選びは心身の健康を守る上で重要です。人との接触が少なく落ち着いた環境で働ける仕事では社交不安症の症状を軽減できるため、長く安定して働き続けることにもつながります。

社交不安症の人に比較的向いているとされる職種は下記の通りです。

  • ・ITエンジニア・プログラマー
  • ・クリエイティブ職
  • ・事務職・データ入力
  • ・研究職
  • ・会計士
  • ・検針員
  • ・翻訳家
  • ・清掃員・警備員
  • ・工場勤務員
  • ・図書館司書

それぞれの仕事内容と向いている理由を解説します。

ITエンジニア・プログラマー

ITエンジニア・プログラマーは、ソフトウェア開発やシステム運用などを担う仕事です。在宅勤務やリモートワークを導入している職場が多く、さまざまな企業の中から就職先を選べるでしょう。

業務の大半は個人での作業であり、対面でのやりとりは最小限です。人前での発言や即時対応が求められる場面が少ないため、社交不安症のある人にとって働きやすい職種といえるでしょう。

クリエイティブ職

WebデザイナーやWebライター、動画編集者などのクリエイティブ職は自分のペースで作業を進めやすく、クライアントなどとのやり取りもメールやチャットが中心です。フリーランスであれば、働く時間や場所も自由に調整できます。

事務職・データ入力

事務職は、比較的定型的なタスクをこなすことが多く、スケジュールや業務内容に大きな変化がないため取り組みやすいです。電話応対や来客対応がほとんどない部署であれば、静かな環境で業務に集中でき、心に余裕を持ちやすいでしょう。

データ入力業務は在宅勤務が可能な求人もあり、自宅で落ち着いて作業したい人に選ばれています。マニュアル通りに作業を進めることが中心で、オンラインで完結する仕事も多く、対人関係の不安を感じにくい職種です。

研究職

研究職は、データ分析や実験、文献調査などに基づいて仮説を立て、検証を行う専門職です。企業の研究部門や大学の研究機関などが主な活躍の場で、長時間にわたる集中作業が必要な仕事です。

多くの場合、一人で集中して業務に取り組むことができるので、内省的な思考力や粘り強さを存分に発揮できます。

対人関係が苦手でも、論理的な思考と探求心が評価されやすい職種です。

会計士

会計士は、財務諸表の監査や会計処理のアドバイス、税務関連業務などを行う国家資格職です。業務の多くは、数値に向き合う個人作業であり、書類やデータを扱う場面がほとんどです。クライアント対応はありますが、あらかじめ内容を準備できることが多く、即興のコミュニケーションが求められることは少ないため、過度な緊張を避けやすい環境です。

ただし、資格の取得には一定の学習時間と試験対策が必要です。

検針員

検針員は、各家庭や施設を回り、電気・ガス・水道の使用量を測定する仕事です。決まったエリアを一人で巡回するため、ほぼ全ての時間を一人で過ごすことができます。作業は手順に従って淡々と進められるルーティン業務であり、予定が立てやすく、突発的な対応も少ないのが特徴です。

また人と話すのは簡単な挨拶程度で済む場合がほとんどのため、対面コミュニケーションが不安な人でも取り組みやすいでしょう。

翻訳家

翻訳家は、書籍や記事、マニュアル、字幕などを他言語に翻訳する仕事で、ほとんどの時間を一人での作業に集中できます。クライアントとのやり取りはメールが中心で、やり取りのペースも比較的ゆっくりです。

正確さと継続力が求められますが、人前に出る機会がなく、静かな作業環境で力を発揮しやすいため、社交不安症の人と相性の良い職業です。

フリーランスで働く場合は、納期管理が自分に委ねられるため、無理のないペースで働ける点もメリットです。

清掃員・警備員

清掃員は、ビルや施設、商業施設などを決まった時間に清掃する業務で、人との接触がほとんどありません。あらかじめ決まったルートと手順があるため、予測不能な業務に不安を感じる人にも向いています。

警備員も同様に、施設の巡回やモニター監視が主な業務となり、一人での行動が中心です。責任感は求められますが、緊急対応以外では他者との関わりが少なく、一定のルールの中で働けることは安心感につながるでしょう。

工場勤務員

工場勤務では、製造ラインや組立工程などで同じ作業を繰り返すルーチンワークが基本です。業務マニュアルがしっかり整備されており、一度覚えてしまえば大きな変化はありません。

黙々と作業に集中できる環境が多く、チーム作業であっても最低限の報連相で済むことがほとんどです。特に一人での工程作業に従事できるポジションでは、人間関係のストレスを大きく抑えられるでしょう。

図書館司書

図書館司書は、書籍の貸し出し、返却、整理、館内案内などを行う仕事で、静かな環境と規則的な業務内容が特徴です。

利用者対応はありますが、基本的に一対一で丁寧に対応すればよく、集団の前で話すような場面はほとんどありません。落ち着いた空間で働ける点が、社交不安症がある人にとって安心材料となるでしょう。

社交不安症の人が仕事を選ぶ際のポイント

社交不安症がある人が仕事を選ぶ際には、「自分にとって無理のない働き方ができるかどうか」に加え、「興味や関心のある分野かどうか」という視点も大切です。

人と接する場面で不安や緊張を感じやすい特性があるからこそ、得意なことや好きなことに取り組むと、仕事に対する前向きな気持ちや自信を持ちやすくなります。

また興味のある分野であれば学ぶ意欲も高まり、スキルアップにも自然とつながりやすくなります。

社交不安症の人が長く仕事を続けるためには?

社交不安症がある人にとって、仕事を継続するには「無理をしない工夫」と「自分を守る習慣作り」が大切です。ここでは、症状とうまく付き合いながら働き続けるために、ぜひ取り入れてみてほしい工夫や習慣を紹介します。

通勤のストレスを減らす

社交不安症のある人にとって、満員電車や混雑したバスは、大きなストレスの原因になりやすい環境です。人と身体的に密接した状態が続いたり、予測できない混雑状況に巻き込まれたりすることで、強いストレスを感じます。

こうしたストレスを軽減するためには、時差出勤制度やフレックスタイム制度を活用して通勤時間をずらす、自転車や徒歩など混雑を避けられる移動手段を選ぶといった工夫が有効です。可能であれば、在宅勤務やテレワークができる職場を選び、通勤そのものを避けることも視野に入れましょう。

通勤時のストレスを最小限に抑えることで、日々の負担が大きく軽減され、仕事への集中力や継続力も高まります。

リラックスできる時間や方法を見つける

日々のストレスをため込むと、心身のバランスが崩れやすくなります。たとえ短時間でも、意識的にリラックスする時間をつくることが、不安のコントロールにつながります。

ゆっくりとお風呂に入る、軽くストレッチをする、深呼吸や瞑想を行うなど、自分に合った方法を取り入れましょう。

生活習慣を整える

睡眠・食事・運動といった基本的な生活習慣は、心身の健康の土台です。十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動などは、ストレスへの抵抗力を高めます。

心身の健康を保つことで、仕事を続ける力が自然と育まれます。

社交不安症の人が仕事で困ったときの対処法

社交不安症がありながら働いていると、職場での人間関係や突然の業務変更など、さまざまな場面で困難に直面することがあります。そうしたときは自分だけで抱え込まず、専門家や支援機関を頼り、状況を少しずつ改善させることが可能です。ここでは、仕事で困ったときに役立つ対処法を紹介します。

専門家(医師、カウンセラー)に相談する

最初に検討したいのは、医師や臨床心理士、カウンセラーなどの専門家に相談することです。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を中心とする薬物療法や認知行動療法など、個々の症状に応じた治療を受けることで、仕事に伴う不安や緊張をコントロールしやすくなります。

また職場でのコミュニケーションに関するお悩みや、どうしたら良いかという具体的な対処法についても、専門家が心強い味方になってくれます。

就労支援機関を利用する

社交不安症を含む精神的な困難がある人のために、さまざまな就労支援機関が全国に設けられています。

例えば、「就労移行支援事業所」では、職場で必要なスキルやマナーを身に付けながら、自分に合った職場探しをサポートしてくれます。

また「精神保健福祉センター」ではメンタルヘルスに関する幅広い相談を受け付けており、「障害者就業・生活支援センター」では、就労だけでなく生活面も含めた継続的な支援が受けられます。

支援機関を活用することで、無理なく働き続けるための環境作りができます。

まとめ

人との関わりに強い不安を感じやすい社交不安症の方も、ご自身に合ったお仕事や心穏やかに過ごせる環境を見つけることで、より安心して働き続けるための一歩を踏み出せるかもしれません。

例えば、一人で集中しやすい作業、在宅でのお仕事、あるいはルーティン業務が中心の職場など、落ち着いて取り組みやすいと感じる選択肢はさまざまあります。大切なのは、焦らず、あなたに合った働き方やペースを見つけていくことです。

「どうしても一人ではうまくいかない」「仕事選びや働き方で悩んでいる」という場合は、就労移行支援サービスの活用も一つです。

ココルポートは、社交不安症を含む精神障がいのある人の就職・復職を支援しており、これまでに累計4,800名以上の就職・復職を実現しています(2025年4月時点)。

無料の資料請求や見学、個別相談会も随時受け付けていますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

西多 昌規(にしだ まさき)
早稲田大学スポーツ科学学術院・教授 早稲田大学睡眠研究所・所長
東京医科歯科大学医学部卒業。自治医科大学講師、ハーバード大学、スタンフォード大学の客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会総合専門医など。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。
著書に「眠っている間に人の体で何が起こっているのか」(草思社)など。

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