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就労選択支援とは? 利用期間やメリット・デメリットも分かりやすく解説
公開日:2026/03/02
更新日:2026/03/02

「自分に合った働き方が分からない」「就労移行支援やA型・B型のどれを選ぶべきか迷っている」。こうした悩みを抱える方は少なくありません。
就労選択支援は、こうした進路の迷いを解消するために設けられた新しい支援制度で、客観的なアセスメントを通して最適な働き方を一緒に考えていく仕組みです。
本記事では、就労選択支援の概要からサービスの流れ、メリット・デメリットなどをご紹介します。
就労に向けた一歩を踏み出したい方は、ぜひ参考になさってください。
目次
就労選択支援とは?

就労選択支援は、障がいのある方が自分に合った仕事や働き方を主体的に選べるよう支援するために設けられた新しい障がい福祉サービスです。2022年の障害者総合支援法の改正によって制度化され、これまで十分に整備されていなかった「進路選択のためのサポート」を明確に支援内容として位置づけた点が特徴となっています。
就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)など、複数の就労系サービスの中からどれを利用するのが適切かを判断するために、専門職による丁寧なアセスメントが実施されます。
利用者の得意・不得意や生活リズム、体調、今後の希望などを整理し、その結果に基づいた進路選択をサポートすることが目的です。
全国での本格施行は2025年10月1日からとなっており、今後、自治体や支援機関による受け入れ体制が順次整備されていく見込みです。
※参考:厚生労働省.「就労選択支援について」.
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001389440.pdf ,(2025-01-30).
就労選択支援の目的
就労選択支援の目的は、障がいのある方が自分に合った働き方を選び、安心して就労に進めるようにすることです。主な目的としては、まず、一般企業への就職や就労継続支援(A型・B型)など、多様な「働く場」から最適な選択ができるようサポートする点が挙げられます。
また、就労アセスメントの手法を用いて、本人の希望だけではなく、就労に必要な能力や適性、体調面などを客観的に整理し、より適切な選択につなげることも重要な目的です。これにより、働き始めてから「思っていた環境と違う」といったミスマッチが起こりにくくなり、就労後の満足度や長期的な定着率の向上が期待できます。
さらに、アセスメントを行う事業所と、実際に就労を希望する事業所を分離する仕組みによって、中立的な立場から多様な選択肢を検討できるようにしています。これにより、一つの事業所の方針に偏らず、利用者本人にとって最も適した働き方を幅広く検討できることも、本サービスの大きな目的となっています。
就労選択支援の実施主体
就労選択支援を提供する主体は、都道府県知事から指定を受け、一定の基準を満たした事業所や支援機関です。サービスを提供できるのは、次のような就労支援に関わる機関です。
- ・就労移行支援事業所
- ・就労継続支援事業所(A型またはB型)
- ・障害者就業・生活支援センター事業の受託法人
- ・自治体が設置する就労支援センター
- ・障がい者能力開発助成金を活用した障がい者職業能力開発訓練事業を行う機関
これらの事業所が実施主体となるためには、原則として「過去3年以内に3人以上の利用者が一般就労に新規雇用された実績を有する」こと、または同等の経験・実績を持つと都道府県知事に認められることが求められます。さらに、定員は10人以上とされ、管理者1名に加え、利用者15人につき1名の就労選択支援員を配置することが必要です。
就労選択支援の対象者

就労選択支援の対象となるのは、主に就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)の利用を新たに希望する障がいのある方、またはすでにこれらのサービスを利用している方です。年齢による制限はなく、就労経験の有無も問われないため、幅広い人が利用できる点が特徴です。特別支援学校に在学中の生徒も、早期からのキャリア形成支援として利用できます。
対象となる障がいの種類が限定されているわけではなく、精神障がい、発達障がい、身体障がい、知的障がい、難病など、多様な方が利用の対象に含まれます。重要なのは障がいの種別ではなく「就労移行支援」や「就労継続支援(A型・B型)」をすでに利用しているか、またはこれから利用しようとしているかという点です。これらの支援につながるプロセスを適切に進めるため、就労選択支援が活用されます。
就労選択支援の利用期間
就労選択支援サービスの利用期間(支給決定の有効期間)は、市区町村が定める期間によって異なりますが、原則として1カ月または2カ月のいずれかに設定されます。基本的には1カ月の利用が標準となっており、その期間内にアセスメントや進路検討が進められます。
一方で、作業体験に時間を要する場合や、より丁寧な評価が必要と判断される場合など、例外的な事由があるときには最長2カ月まで利用期間が延長されることがあります。このように、利用者の状況に応じて柔軟に設定される仕組みです。
就労選択支援のサービスの流れ
就労選択支援は、利用者が自分に適した働き方や支援サービスを選べるよう、段階的なプロセスに沿って実施されます。ここでは、申請から進路決定までの流れを順番に解説します。
利用申請
障がいのある方本人が、お住まいの市区町村の障がい福祉窓口で就労選択支援の利用申請を行います。この申請に基づき、必要性の確認や支給決定の手続きが進められます。
アセスメント(状況把握)
支援員が面談や短期間の作業体験(模擬作業、入力作業、軽作業など)を通じて、利用者の職業適性や希望、就労に向けた課題を多角的に評価します。ここで得られた情報はアセスメントとして整理され、進路検討の基礎となります。
複数の機関との会議
就労選択支援事業所が中心となり、市町村、計画相談支援事業所、ハローワーク、医療機関、教育機関など、必要な関係機関を招集してケース会議を行います。これは、アセスメントの質と中立性を確保し、利用者にとって最適な支援方針を検討する重要な場となります。
アセスメントシートの作成・共有
ケース会議での議論や評価結果を踏まえ、アセスメントシートを作成します。このシートは本人にも提供され、客観的な自己理解を深める材料として活用されます。
進路選択
最終的に、アセスメント結果に基づき、就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)・一般就労などの進路候補に連絡調整を行い、利用者とともに最適な進路を選択します。こうして、本人が納得して次のステップに進めるよう支援が行われます。
就労選択支援の利用にかかる費用
就労選択支援は障がい福祉サービスに位置づけられており、利用者は原則としてサービス費用の1割を自己負担します。ただし、負担が過度にならないよう、世帯の所得に応じて「利用者負担上限月額」が設定されており、上限額を超える支払いは発生しません。
生活保護受給世帯や、市町村民税非課税の低所得世帯では自己負担額が0円となり、費用を気にせず利用できる仕組みが整えられています。また、就労選択支援の利用期間中は作業体験などを行う場合でも賃金収入は発生しない点に注意が必要です。
就労選択支援と他の就労サービスの違い
就労選択支援は、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)といった既存の就労系サービスを利用する「前」の段階で活用されるサービスです。すぐに働くことを求められるものではなく、専門の支援員と相談しながら、本人の適性・希望・課題を整理し、進むべき方向を選ぶための重要な準備期間として機能します。
以下に、就労選択支援と他の就労サービスの主な違いをまとめます。
| サービス名 | 主な目的 | 位置づけ | 利用中の収入 | 対象者の特徴 |
| 就労選択支援 | 自分に合った働き方や支援サービスを選ぶためのアセスメント | 就労支援の「入口」 | なし | まず進路を検討したい人 |
| 就労移行支援 | 一般企業への就職に向けた訓練・面接対策・職場探し | 就職準備 | なし | 一般就労を目指す人 |
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結んで働く(最低賃金以上の給与) | 働きながら支援を受ける | あり(給与) | 雇用契約のもとで働ける人 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約を結ばずに軽作業を行い、工賃を得る | 働く機会の提供 | あり(工賃) | 体調・能力面から一般就労が難しい人 |
就労選択支援の他の就労サービスへの影響
就労選択支援が導入されることで、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)といった既存の就労系障がい福祉サービスの利用プロセスにも変化が生じます。特に、利用開始前のアセスメントの質が高まり、より適切な進路選択が行えるようになる点が大きな特徴です。ここでは、サービスごとの影響を順に解説します。
就労継続支援B型への影響
就労継続支援B型の利用を新たに希望する方(=就労アセスメント対象者)は、原則として就労選択支援の利用が必要になります。これは2025年10月(令和7年10月)から開始される仕組みであり、利用者が自分に合った働き方を見極めるための支援がより丁寧に行われるようになることを目的としています。
ただし、全ての人に一律で利用が義務付けられるわけではありません。以下の条件に該当する方は、就労選択支援の利用が必須ではなく、希望に応じて利用を選択できます。
- ・50歳以上の方、または障がい基礎年金1級受給者
- ・過去に就労経験があり、年齢や体力の低下により一般就労が困難になった方
これらの例外に該当する場合は、本人の状況に応じて柔軟に利用可否を決めることができます。新たな仕組みにより、利用者がより納得してB型事業所を選択できるようになることが期待されています。
就労継続支援A型への影響
新たに就労継続支援A型の利用を希望する方についても、将来的には原則として就労選択支援の利用が必要となります。これは、利用者が自分の能力や希望に合った働き方を選びやすくするための仕組みであり、A型の利用開始前に適切なアセスメントを行うことを目的としています。
この原則が適用されるのは2027年4月(令和9年4月)以降であり、同時期からA型を新たに利用したい方は原則として就労選択支援を経て進路を選ぶ流れになります。ただし、この開始時期は、各地域の支援体制の整備状況を踏まえた上で設定されており、スムーズに導入できるよう段階的な準備が進められています。
就労移行支援への影響
就労移行支援では、新たに利用を希望する場合は「希望に応じて」就労選択支援を利用する形が取られます。必ず利用しなければならないわけではありませんが、進路の見極めがより適切に行える点から、必要に応じて利用が推奨されています。
一方で、就労移行支援の標準利用期間(原則2年間)を超えて継続利用したい場合には取り扱いが変わります。2027年4月(令和9年4月)以降は、原則として就労選択支援を受けることが必要となり、継続利用の妥当性や今後の進路を改めて整理するステップが設けられます。
ただし、すでに就労移行支援を利用している人が基準利用期間を超えて利用を希望する場合であっても、全てに就労選択支援が必須となるわけではありません。面接や職場実習など、一般就労に向けた具体的な予定があり、就職の可能性が高いと事業所が判断した場合には、例外的に就労選択支援の利用を必須としない取り扱いがあります。
就労選択支援のメリット
就労選択支援を利用することで、働くための選択肢をより正確に整理でき、就労後のミスマッチを防ぎやすくなります。短期間で客観的なアセスメントを受けられる点も特徴で、次のステップへスムーズに進むための重要な支援となります。主なメリットは次の通りです。
- ・適切な進路選択ができる
- ・中立的な支援を受けられる
- ・短期間で利用を完了できる
- ・さまざまな機関と連携した支援が受けられる
就労選択支援では、専門支援員による客観的な評価を受けられるため、本人の希望や能力、体調、働き方の適性などが整理され、より納得感のある進路選択が可能になります。また、アセスメントを行う機関と就労サービス提供機関が分離されていることから、特定の事業所に偏らない中立的な助言が得られる点も大きなメリットです。
さらに、サービスは1〜2カ月という短期間で完了するため、負担が少なく次の行動につなげやすい設計になっています。市区町村やハローワーク、医療・教育機関などと連携して支援が進むことで、本人に合った進路を総合的に検討できる点もメリットです。
就労選択支援のデメリット
就労選択支援には多くのメリットがある一方で、利用に当たって注意したい点やデメリットも存在します。利用を検討する際には、こうした側面も踏まえて検討することが大切です。主なデメリットは次の通りです。
- ・利用中の収入がない
- ・利用期間に制約がある
- ・手続きを負担に感じる場合がある
- ・事業所や地域によってサービスの質にばらつきがある
まず、就労選択支援の利用期間中は賃金や工賃といった収入が得られません。作業体験を行う場面はありますが、あくまでアセスメント目的であり収入にはつながらないため、生活状況によっては不安を感じる方もいます。
また、利用期間は原則1〜2カ月と決められており、長期間にわたってじっくり準備したいという場合には短く感じられるケースがあります。
手続き面でも、市区町村への申請や複数機関との会議など、初めて利用する方にとっては煩雑に感じられることもあるでしょう。
さらに、実施主体となる事業所の経験値や体制、地域の連携状況によってサービスの質にばらつきがあるため、事前に情報収集を行うことが大切です。
まとめ
就労選択支援は、働き方を選ぶ前の段階で客観的なアセスメントを受けられる仕組みであり、ミスマッチを防ぎながら自分に合った進路を見つけるための大切な制度です。
就労移行支援・定着支援を提供するココルポートは、働く準備から就職後のサポートまでを一貫して支える機関です。
就労選択支援を踏まえて次の一歩を考えたい方は、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール

岡田 紘未(おかだ ひろみ)
Bright Counseling Room 共同代表
臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士
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