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障害者自立支援法を分かりやすく解説! 障害者総合支援法へ変わった理由や違いも紹介
公開日:2026/02/19
更新日:2026/02/19

2006年に施行された「障害者自立支援法」は、障がい者が地域で安心して生活できる社会を目指して制定されました。しかし、制度の運用を通じて経済的負担や支援の複雑さなど多くの課題が明らかになり、2013年には「障害者総合支援法」へと改正されました。
本記事では、障害者自立支援法の概要と制定の目的や障害者総合支援法へ改正された理由、障害者総合支援法の内容などについて詳しく解説します。
障がいのある方やご家族の今後の生活設計を考える上で役立つ内容となっています。ぜひ参考にしてください。
目次
障害者自立支援法とは?

障害者自立支援法は、2006年に施行された障がい者福祉の基本法であり、ノーマライゼーションの理念に基づいて制定されました(※1)。
ノーマライゼーションとは、障がいの有無に関わらず、すべての人が地域の中で共に暮らし、社会参加できるようにする考え方を指します。
従来の支援費制度では、障がいの種類(身体・知的・精神)ごとにサービスが分かれており、複雑で分かりにくかった他、精神障がい者が対象外となっていた点も問題とされていました。
また地方自治体ごとにサービス体制や支援内容に格差があり、必要な支援が十分に行き届かない状況が生じていた点も問題の一つでした。さらに、就労支援の不足や支給決定の不透明さなども大きな課題として指摘されていました。障害者自立支援法は、支援費制度が抱えていたこのような課題を改善し、障がい者がより平等にサービスを受けられる仕組みを構築することを目的として施行された法律です。
しかし障害者自立支援法は、経済的な負担の増加が深刻な社会問題になるなどさまざまな課題が明らかとなり、結果として2009年9月の政権合意により同法の廃止が一度決定しています。
その後2013年に、従来の枠組みを廃止するのではなく、より包括的な支援を目的とした法律へと発展的に改正したものが施行され、現在の「障害者総合支援法」に基づく支援体制が整備されました(※2)。
※1参考:厚生労働省.「障害者福祉:障害者自立支援法のあらまし」.
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/aramashi.html ,(参照2025-11-27).
※2参考:厚生労働省.「障害者総合支援法が施行されました」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html ,(参照2025-11-27).
障害者自立支援法から障害者総合支援法へ変わった理由

障害者総合支援法への改正は、より実情に合った支援を行うために進められた見直しです。支援の対象範囲やサービスの内容が整理され、より利用しやすい仕組みを整えることが目的とされました。
ここでは、制度改正が行われた主な3つの理由について解説します。
高齢化によりニーズが変化した
障害者自立支援法の施行後、日本社会は急速に高齢化が進みました。それに伴い、障がい者支援におけるニーズも大きく変化しています。
高齢化社会では、障がいのある本人の加齢や重症化に加えて、介護を担う家族の高齢化による支援力の低下も深刻な課題となりました。
従来の支援制度では、こうした新たな課題に十分対応できず、医療・福祉・就労・介護といった複数分野をまたぐ支援体制の必要性が高まりました。このような背景から「年齢や障がいの種類にかかわらず、全ての人が地域で安心して暮らせる仕組み」を実現するため、制度の見直しが求められました。
障がい者とその家族への自己負担額が大きかった
障害者自立支援法では、サービスの利用に当たり原則1割の自己負担が導入されました。この仕組みは財政の安定化や公平性を目的として設けられたものですが、結果的に多くの障がい者やその家族にとって大きな経済的負担となりました。
特に低所得世帯や無職の障がい者にとっては、生活費の中から毎月の利用料を支払うことが困難であり「必要な支援を諦めざるを得ない」というケースも少なくありませんでした。
この問題は社会的にも大きく取り上げられ、各地で違憲訴訟が起こされる事態にまで発展しています。訴訟を受けた国は制度の抜本的な見直しを行い、障害者自立支援法の廃止に至りました。
※参考:厚生労働省.「障害者自立支援法違憲訴訟について」.
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/minaoshi/02.html ,(参照2025-11-27).
制度の仕組みが複雑だった
障害者自立支援法は、支援対象やサービス内容が多岐にわたるため、制度そのものが非常に複雑でした。サービスを利用する際には「障がい程度区分」の認定や、複数の機関による手続きが必要であり、支援を受けるまでに時間がかかるという問題が生じていました。
また地域ごとに支援体制や人材確保の状況に差があり、提供されるサービスの質や内容にも格差が見られました。例えば都市部では支援事業所が充実している一方で、地方では選択肢が限られており、十分な支援を受けられないケースも多く報告されています。
これらの課題を踏まえ、制度の簡素化と支援の均一化を図るために、より柔軟で利用者本位の制度設計として障害者総合支援法が制定されました。
障害者総合支援法の内容は?
障害者総合支援法は、2013年4月に施行された障がい者福祉の基本法です。障がい者および障がい児が、基本的人権を持つかけがえのない個人として尊重され、地域で自立した生活を送れるようにすることを目的としています。
従来の「障害者自立支援法」で指摘された課題の中でも、制度の複雑さや経済的負担の重さや支援範囲の狭さを是正するために改正されたものであり「全ての人が共に生きる社会(共生社会)」の実現を理念に掲げています。
また従来の障がい者の範囲を超えて、難病患者なども支援対象に含めるなど、より包括的で柔軟な支援制度へと拡充されました。
※参考:厚生労働省.「障害者総合支援法が施行されました」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html ,(参照2025-11-27).
※参考:厚生労働省.「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律について」.
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/dl/sougoushien-06.pdf ,(参照2025-11-27).
基本理念
障害者総合支援法では「共生社会の実現」を目指し、以下の6つの基本理念が定められています。
- ・全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念
- ・全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現
- ・可能な限りその身近な場所において必要な(中略)支援を受けられること
- ・社会参加の機会の確保
- ・どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共存することを妨げられないこと
- ・社会的障壁の除去
これらの理念は、障がい者が「支援を受ける立場」ではなく自らの意思で社会に参加し、地域で生きる主体であることを前提としています。
※出典:厚生労働省.「障害者総合支援法について」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ouk-att/2r98520000036ozu.pdf ,(2013-07-09).
自立支援給付と地域生活支援事業
障害者総合支援法で定められている支援サービスは「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つに大きく分けられます。
それぞれの仕組みや特徴について詳しく見ていきましょう。
自立支援給付とは?
自立支援給付とは、障がい者一人ひとりの生活状況やニーズに応じて、行政がサービス利用費用の一部を給付する支援のことです。
利用費用は国が定めたルールに基づいて運用されており、利用しているサービスの総額のうち9割を公費で給付し、利用者は原則1割を自己負担します。ただし、所得に応じた負担上限月額が設けられており、住民税非課税世帯は自己負担はありません。
自立支援給付に含まれる主なサービスは以下です。
- ・介護給付:居宅介護、重度訪問介護、短期入所、生活介護、施設入所支援など、日常生活を支える介護系サービス
- ・訓練等給付:就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、自立訓練、共同生活援助(グループホーム)など、自立や就労に向けた訓練・サポート
- ・自立支援医療:更生医療、育成医療、精神通院医療など、医療費の公費負担を一元化した制度
- ・補装具費支給:身体機能を補助・代替するための補装具購入費の支給
上記は、障がい者が「生活の質を高める」だけでなく「働く力」や「社会との関わり」を築くための土台となる支援です。
※参考:厚生労働省.「障害者総合支援法について」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ouk-att/2r98520000036ozu.pdf ,(2013-07-09).
地域生活支援事業とは?
地域生活支援事業は、障がい者が地域社会の中で安心して暮らせるよう、市区町村や都道府県が主体となって実施する支援制度です(※1)。
国が定める基本的な枠組みはありますが、各自治体が地域の実情やニーズに合わせて柔軟に内容を決定できます。
提供されるサービスは自治体ごとに異なりますが、代表的な内容は以下の通りです(※2)。
- ・市区町村事業:相談支援事業、成年後見制度利用支援事業、意思疎通支援事業、日常生活用具給付等事業、移動支援事業など、身近な地域で生活を支える支援
- ・都道府県事業:専門性の高い相談支援事業、広域的な支援事業など、地域全体の支援体制を強化する取り組み
自立支援給付と組み合わせることで、個々の生活環境や目標に合わせた総合的な支援を実現します。
※1参考:厚生労働省.「地域生活支援事業」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/chiiki/index.html ,(参照2025-11-27).
※2参考:厚生労働省.「地域生活支援事業及び地域生活支援促進事業に位置づけられている事業の一覧」.
https://www.mhlw.go.jp/content/001472678.pdf ,(参照2025-11-27).
障害者自立支援法と障害者総合支援法の違い
前述の通り2006年に施行された障害者自立支援法は、ノーマライゼーションの理念に基づき、障がい者福祉サービスを統一的に整理・効率化する目的で導入されました。また2013年に施行された障害者総合支援法は、その制度運用で明らかになった課題を改善し、全ての人が共に生きる共生社会の実現を目指して改正されたものです。
以下では、それぞれの違いを分かりやすく解説します。
| 項目 | 障害者自立支援法(2006年施行) | 障害者総合支援法(2013年施行) |
| 制定の目的・背景 | ・障がい種別ごとの縦割り体制を是正し、サービスを一元化するために制定 ・精神障がい者を含め、全ての障がい者を対象に公平な制度を構築 ・財政負担の増大や地域格差の是正を目的 |
・障がい者やその家族の経済的負担軽減を目的に改正 ・障害者権利条約の批准に対応し、国際水準の支援体制を整備 ・共生社会の実現と、全ての人が地域で安心して暮らせる仕組みの構築 |
| 基本理念 | ・ノーマライゼーション(障がいの有無に関わらず共に生きる社会)を掲げる ・福祉サービスの一元化と効率化を重視 |
・共生社会の実現を目的とし、障がい者の「権利」と「自立した生活の実現」を重視 ・社会的障壁の除去、地域での共生、意思決定支援などを法の柱とする |
| 対象者の範囲 | ・身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者が対象 ・難病患者は対象外 |
・従来の対象に加え、難病患者や小児慢性特定疾病児童なども支援対象に追加 ・「障がい支援区分」により柔軟な判定が可能に |
| 利用者負担の仕組み | ・原則1割負担を導入 ・所得に関わらず一律負担であったため、低所得世帯にも経済的負担が大きい |
・所得に応じた「負担上限月額制度」を導入し、低所得者の自己負担を軽減 ・より公平な費用負担体系に改正 |
| 支援体制の強化 | ・市町村を中心とした支給決定方式を導入 ・支援費制度の課題(自治体間格差)を一部改善 |
・相談支援体制を強化し、意思決定支援を重視 ・障害者総合支援センターなど、地域での包括支援体制を整備 |
| サービス内容の拡充 | ・自立支援給付と地域生活支援事業の2本柱を確立 ・就労移行支援、生活介護などを制度化 |
・従来の枠組みを引き継ぎつつ、難病支援・就労支援・地域生活支援を拡大 ・重度訪問介護の対象を知的・精神障がいにも拡大 |
| その他の改正点 | ・障がい程度区分を導入 ・介護・訓練等給付を整理して運用開始 |
・「障がい支援区分」へ見直し ・ケアマネジメント(計画相談支援)の充実 ・データベース整備や情報連携の推進 |
※1参考:衆議院.「障害者自立支援法」.
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16320051107123.htm ,(参照2025-11-27).
※2参考:厚生労働省.「障害者総合支援法が施行されました」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html ,(参照2025-11-27).
障害者総合支援法のサービスを利用するには?
障害者総合支援法に基づくサービスを利用するためには、いくつかの手続きが必要です。利用者本人の状況や希望に応じて、行政機関と相談支援事業者が連携しながら支援計画を作成していきます。ここでは、利用開始までの一般的な流れを解説します。
最初のステップは「申請」です。利用を希望する人は、居住地の市町村窓口に対してサービス利用の申請を行います。申請時には、障がい者手帳や診断書など、障がいの状況を確認できる書類の提出が求められる場合があります。
次は市町村による「認定調査」です。ホームヘルプや短期入所など介護給付のサービスを希望する場合は、職員による訪問調査を通じて「障がい支援区分」の判定が行われます。調査項目は全80項目にわたり、心身の状態や日常生活での支援の必要度などが評価され、1から6の区分で認定される仕組みです。
その後、本人の希望や課題、必要な支援内容が整理された「サービス等利用計画案」を指定特定相談支援事業者が作成し、市町村に提出します。
市町村は提出された計画案をもとに、支援の必要性や内容を検討し「支給決定」を行います。支給決定通知が届いた後サービス担当者会議が開催され、関係機関と調整を行いながら最終的な「サービス等利用計画」が完成します。
申請から利用開始までには一定の期間がかかるため、利用を検討している場合は早めに市町村や相談支援事業者に相談することが大切です。
※参考:厚生労働省.「障害福祉サービスの利用について」.
https://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file01-01.pdf ,(参照2025-11-27).
まとめ
障害者自立支援法は、障がい者が地域で自立して生活できるよう支援する目的で制定されましたが、自己負担の大きさや制度の複雑さといった課題を抱えていました。これらを改善し、全ての人が共に生きる「共生社会」の実現を目指して改正されたのが、現在の障害者総合支援法です。
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