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【口コミあり】ADHDで退職する場合の手続きの流れや支援制度を解説


ADHDの方の中には、集中力の維持やタスク管理が苦手な特性によって職場で悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。人間関係の問題や、業務内容が自分に合っていないなど、ADHDを原因とした様々な理由から退職を検討することもあるかもしれません。

そこで本記事では、実際にADHDで退職をした方の声や、退職手続きの流れ、退職時に受け取れる可能性のある手当についてもご紹介します。退職を検討されている方は、参考にされてみてはいかがでしょうか。

ADHDとは?

ADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)とは、注意欠陥・多動性障がいと呼ばれる神経発達の障がいの一つです。主な症状としては、注意力の欠如、多動性、衝動性の3つが挙げられます。

特に職場においては、「集中力が維持できない」「ケアレスミスが多い」「整理整頓が苦手」「タスク管理が苦手」などの問題が起こりやすいです。これらの問題から自己嫌悪に陥り、退職を検討するというケースも多いです。

しかしながら、将来への不安や人間関係の懸念から退職に踏み出せず、辛い日々を送っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。前提として、退職は悪いことではありません。無理をして心身を壊す前に、休養を取り、自分に適した職場を見つけることが大切です。

ADHDに関するさらに詳しい情報は下記の記事をご覧ください。
関連記事:「ADHD(注意欠如・多動性障がい)とは?特徴や症状、診断方法をご紹介」

ADHDで退職をした方の声

ADHDと診断された方を対象にアンケート調査を行い、以下の質問について回答をいただきました。

  • ・ADHDと診断された後、仕事はどうした?
  • ・ADHDで退職を決断した理由
  • ・退職後に困ったこと
  • ・ADHDで退職しようか迷っている人へアドバイス

退職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ADHDと診断された後、仕事はどうした?

アンケート調査によって得られた情報をグラフにまとめました。

上記グラフの通り、現職場で働きつづけた方が一番多く、次いで休職、退職、転職となっています。

【アンケート概要】
調査時期:2023年9月11日~2023年9月25日
回答数:100件
調査手法:インターネット調査
調査対象:ADHDと診断された経験がある方
調査実施:インターネットリサーチ会社

ADHDで退職を決断した理由

うつ病になり退職を選んだ理由として多く挙げられていたのは下記の通りです。

  • ・チームワークやコミュニケーションに困難が生じ、仕事を続けられる状況ではなかったため
  • ・医者に休養を勧められたため
  • ・これ以上症状が悪化するのを防ぎたかったため

実際に退職して「心身ともにゆっくり休むことができた」「今後どうするかについて、じっくりと考える時間が作れた」など、退職してよかったとの感想も寄せられていました。

退職後に困ったこと

退職後に困ったことについて、多く挙げられていたのは下記の通りです。

  • ・退職後のことをしっかりと考えておらず、再就職に苦労した
  • ・新しい仕事に就くまでの間に経済的な不安を感じた
  • ・人間関係が薄くなってしまい、孤独を感じた

以上のように、退職後に困ったことは多岐にわたりますが、退職前に経済的な観点や精神的な観点を考えておく必要があると言えるでしょう。

ADHDで退職しようか迷っている人へアドバイス

ここでは、実際にADHDで退職した経験がある方から、ADHDで退職しようか迷っている人へのアドバイスをご紹介します。

一番大切なのは、専門医によるADHDの診断を受けることです。精神科医や心理士など、専門家に相談し、自身の症状や課題について理解を深めましょう。適切な診断を受けることで、職場での課題に対処する手段が見つかる可能性があります。

ADHDに対する理解を得るために、可能であれば、上司や同僚とオープンなコミュニケーションを図ることが重要です。労働環境の調整や柔軟性のあるスケジュールの検討、作業方法の変更など、職場が協力的にサポートしてくれる場合もあります。

自己判断で診断をしないこと、可能であれば自身の状況を周知することなどが目立ちました。

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ADHDの方に向いている可能性がある仕事

ADHDの方の特性も職場によっては長所になり得ます。ADHDの方が退職を検討するほど仕事を辛く感じる原因は、業務内容とのミスマッチにあるのかもしれません。場合によっては、業務内容を調整してもらうことで、退職をせずとも悩みを解決できるかもしれません。

ここでは、ADHDの方にとって得意な仕事、苦手な仕事をそれぞれご紹介します。

ADHDの特性を活かせる仕事

ADHDの方は感受性が豊かであることや、興味のある分野には高い集中力を発揮できるという長所があります。そのため、クリエイティブな仕事、自分の興味を追求できる仕事で特性を活かせる傾向があります。

具体的な職業としては、以下の通りです。

創造力を活かせる仕事 興味を追求できる仕事
デザイナー プログラマー
クリエイター 研究者
漫画家 YouTuber
ミュージシャン その他関心のある分野の専門的な職業

上記で挙げた仕事はあくまでも例の一部です。

ADHDの方が苦手な仕事

先述の通り、ADHDの方は集中力の維持やマルチタスクが苦手という性質があります。以下に挙げる職業は、これらのタスクがデメリットとして働いてしまうため避けた方が良いかもしれません。

  • ・マルチタスクが求められる仕事
  • ・ミスが許されない仕事
  • ・単調な仕事
  • ・接客業
  • ・医療関係者
  • ・工場のライン作業
  • ・ドライバー
  • ・弁護士
  • ・製品の検品や仕分け作業

上記で挙げた仕事はあくまでも例の一部です。

ADHDによる退職手続きの流れ

実際に退職を決意した際は、正しく手順を踏むことが必要です。ここでは、退職を決めてからすべきことの大まかな流れを解説します。

  1. ・医療機関を受診する
  2. ・会社に退職の意思を伝える
  3. ・社会保険の変更手続きを行う

それぞれ詳しく見ていきましょう。

医療機関を受診する

退職を決めた場合は、実際に行動に移す前にまずは医療機関を受診しましょう。自分では退職しかないと思っていても、かかりつけ医からのアドバイス次第では退職以外の選択肢も見えてくるかもしれません。

逆に、医師との面談を踏まえても退職の意思が変わらなければ、後悔せずにその後の進路を選べるはずです。

また、医療機関を受診する際には主治医から診断書も必ず受け取りましょう。障がいがあることを客観的に証明することで、上司への説明も楽になるうえ、診断書を所持していれば、退職後も制度利用などで役に立つ場面があります。

会社に退職の意思を伝える

退職の決心がついた方は、まずは直属の上司に報告しましょう。退職する旨を伝えてから退職するまでの最短期間は会社によって異なります。自身の勤める会社の就業規則を確認したうえで、退職希望日を伝えましょう。

その後は上司や人事部の指示に従いながら、退職届の提出、業務の引継ぎなどの調整を行います。退職届が受理された後は、有給休暇の消化もしてしまいましょう。

社会保険の変更手続きを行う

有給休暇の消化直後から、書類上の退職日までの間に、健康保険や厚生年金などの社会保険の変更手続きを行います。基本的には人事担当者からの案内に従って手続きを進めれば問題ありませんが、退職後の手続きについて詳細な説明がない場合は、ある程度自分で調べることも必要です。

具体的な変更内容としては以下のような選択肢が考えられます。

■健康保険の変更

国民健康保険に切り替える
一定の条件のもとで、勤め先の健康保険を任意継続する
家族の扶養に入る

■厚生年金の変更

厚生年金から国民年金に切り替える
配偶者が支払う

ご自身がどのケースに当てはまるのか確認し、なるべく早めに対応しましょう。

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ADHDの方が退職した際に受け取れる可能性のある手当

ADHDが原因で退職をした場合、特別な手当を受け取れる可能性があります。退職をする前に活用できそうな制度も確認しておきましょう。

  • ・傷病手当金
  • ・失業保険

それぞれ詳しく見ていきましょう。

傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだ時に、健康保険の制度から支給される生活費のことです。数日程度の休みの場合は有給休暇の消費で対応されるのが一般的ですが、傷病手当金は数週間から数カ月に渡って長期間働けなくなった場合に適用されます。支給額は、もともとの給与のおよそ3分の2です。

退職を決意するほど追い込まれている方は、医療機関や職場との申請のやりとりをする元気も残っておらず、結局申請せずに諦めてしまうというケースもあるようです。利用する場合は、エネルギーが残っているうちに早めに申請を済ませてしまいましょう。

傷病手当金は仕事を辞めても最大1年半の間はお金を受け取れる制度なので、退職してから就職活動を始めるまでの休養期間の費用確保のためにも、是非とも活用しておきたい制度です。

失業保険

失業保険とは、離職した時に、次の仕事を見つけるまでの生活費を一定額保障してくれる制度です。失業保険を受給するには、以下の3つの条件全てを満たす必要があります。

  • ・雇用保険に加入していること
  • ・離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
  • ・離職後ハローワークで求職の申し込みを行っているが「失業の状態」にあること

※失業の状態とは、就職する意思や就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない状態を指します。

失業保険の支給額は、もともとの給与の4〜8割であり、給与が低い人ほどこの割合は大きくなります。失業保険と先ほど紹介した傷病手当金を同時に受給することは出来ませんが、傷病手当金を1年半受け取ったあと失業保険を約1年受給することで、受給金額を最大化できます。

ただし、失業保険は失業したタイミングで延長給付をしないと、受給資格を失ってしまうこともあるため注意が必要です。

ADHDで退職をした方が利用できる就労移行支援

退職後、再就職先を探す際は就労移行支援の制度を積極的に利用することがおすすめです。就労移行支援は、障がいのある方が自立した働き方を目指すための制度です。

専門スタッフによる個別サポートが行われており、職業訓練、再就職の支援、職場での適応力向上のための支援が受けられます。これにより、一般企業で必要とされるスキルや知識を習得できるため、再就職の成功率を高めることが可能です。

また、ADHDの特性や一人ひとりの強みを理解した上で、個別に適切な職種や職場探しのサポート、応募書類の作成や面接の練習などのサービスも行われています。さらに、就職後の職場定着のサポートも提供しています。

就労移行支援に関して、さらに知りたい方は下記ページをご覧ください。
関連記事:「就労移行支援とは」

就労移行支援サービスの利用はココルポートで

本記事では、ADHDで退職をした方の声や仕事の向き不向き、退職手続きの流れ、受け取れる可能性のある手当について解説してきました。

ADHDの方は、タスク管理やマルチタスクが苦手なため、職場で苦労することがあるかもしれません。ただ、自身の特性や得意なことを理解し、適切な職場選びをすれば、人並み以上に実力を発揮できることもあります。

就労移行支援事業所のココルポートでは、個々の状況に合わせたサポートを提供しています。無料相談や見学も随時受け付けているので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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西原 浩司(にしはら こうじ)

医学博士(慶応義塾大学)、精神科専門医・指導医、認定産業医
長崎大学病院精神科神経科助教、日本学術振興会特別研究員、慶応義塾大学医学部助教(生物学教室)を経て、現在は沖縄県の天久台病院を中心に精神科診療に従事。
その傍ら、慶応義塾大学医学部訪問研究員としてiPS細胞をもちいた精神疾患の基礎研究を行っている。また複数大手企業の産業医として漢方や鍼灸、栄養学的な情報「心とカラダの予防医学」を目指して活動中。

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