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ADHD(注意欠如・多動性障がい)とASD(自閉スペクトラム症)の違い|併発の可能性はある?

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「ADHDとASDの違いが分からない」
このように思ったことはありませんか。

発達障がいは診断そのものが難しく、ADHDとASD両方の特性があるケースも最近認められてきました。

ここでは、ADHD(注意欠如・多動性障がい)とASD(自閉スペクトラム症)の違いや、受診する際のポイントなどをお伝えします。

ADHDとASDの違い

ADHDとASDは、特性を比較すると様々な違いが見えてきます。

ADHDとASDの区別は難しい

ADHDとASDの特性は異なりますが、どちらも社会人になって困りごとが出てきた際に、不眠や抑うつ症状などの二次障がいを発症してから受診に至ることが多く、医師にも明確な区別は難しいといわれています。

「自分はADHDなのか、ASDなのか」ということにこだわるよりも、「自分にはどんな特性があるのか」に着目し、それに合った対処法をとることが有効です。

ADHD(注意欠如・多動性障がい)とは

ADHDには以下のような特性があります。

  • ・思いつくとすぐ言動に表れる、待てない(衝動性)
  • ・落ち着きがない、じっとしていられない(多動性)
  • ・不注意、忘れ物が多い(注意欠如)

「落ち着きがない」「じっとしていられない」という多動性は、子どもの頃に目立ちやすい特性ですが、大人になっても貧乏ゆすりや手遊びなどとして残ることもあります。

一方で、大人になると不注意(注意欠如)の特性が困りごとのメインとなり、仕事の期限を守れなかったり、大事なところでミスをしてしまったりして、仕事などで悩みを抱える方が多く見受けられます。

ASD(自閉スペクトラム症)とは

ASDには以下のような特性があります。

  • ・コミュニケーションが苦手
  • ・こだわりが強い
  • ・変化が苦手

ASDの特性のある方は、相手の気持ちをうまく想像することが難しく、相手の意図とずれてしまうことで不適切な発言につながることがあります。また、自分の気持ちをきちんと伝えられない傾向も見られます。

変化が苦手なことから、臨機応変な対応ができずにパニックになってしまうこともあり、他人からはこだわりが強く、融通が利きづらいというふうに見えてしまうこともあるようです。

ADHDとASDは併発することも多い

ADHDとASDの特性は似ています。そのため、どちらか一方の特性がある場合、もう一方の特性も併せ持っているケースはよくあります。

重要なのは、ADHDとASDの区別にあまりこだわりすぎず、ご自身の障がいの特性を理解し、個々の困りごとに目を向けて対処することです。

しかし、自身の抱えている問題がADHDとASDのどちらの特性からくるものなのかを見極めることができれば、より解決に向けた適切なサポートが受けられるでしょう。

ADHDとASDは診断が難しい

ADHDとASDは、「発達障がい(神経発達症)」と一括りにされることが多いですが、どういうメカニズムで発症するのかは未だに解明されていません。また、専門家でも発達障がいの的確な診断が難しいとされています。

ADHDやASDのセルフチェックは参考程度にとどめ、正確な判断を受けたい場合は専門医に相談するとよいでしょう。

ADHDとASDの困りごとの原因の違い①仕事面

ADHDとASDは、それぞれ特性の異なる発達障がいですが、同じような困りごとを抱えている場合があります。

  • ・ミスが多い
  • ・何度も同じ失敗をする
  • ・集中力が続かない

ここでは、それぞれ仕事面においてよく見られる困りごとの原因を見ていきましょう。

ミスが多い

ADHDとASDの両方に共通する困りごとの1つは、仕事面におけるミスの多さです。ここでは、ADHDとASDの特性によって引き起こされるミスについてそれぞれ解説します。

■ADHDの場合

ADHDの特性による注意力の散漫さや集中力の低下が、仕事のミスにつながります。

自分が興味や関心がないことには集中できず、他の刺激に気を取られやすいことが原因です。

また、仕事の時間管理や計画を立てて進めることも苦手で、締め切りや優先順位を見失いがちな点もミスを引き起こしやすい要因です。

例えば、書類の作成中に別の仕事について話しかけられ、書類を作成していたことをすっかり忘れてしまうといったケースがあります。

■ASDの場合

ASDはその特性から、あいまいな表現や口頭での指示を理解するのが苦手です。自分なりに解釈をしたつもりでも、正しく理解できておらずミスをしてしまうケースもあります。

人と関わる仕事では、コミュニケーション不足から相手の意図や期待をつかみ切れないことも、ミスにつながりやすい原因です。

また、ASDの特性の一部であるこだわりや感覚過敏もミスの原因となり得ます。集中力や判断力を低下させ、ミスを起こしやすくすることも考えられるでしょう。

何度も同じ失敗をする

仕事において同じ失敗を繰り返してしまうというのは、ADHDとASDに共通する困りごとです。

ここでは、何度も同じ失敗をしてしまう原因について、それぞれ解説します。

■ADHDの場合

ADHDの特性のある方は注意が散漫になりがちで、目の前に惹かれるもの(こと)があると衝動的に飛びついてしまい、同じミスを何度も繰り返す傾向があります。

例えば、相手の話を聞かずに切り込んだり、感情的になって言い過ぎたりするケースです。

注意欠如から、レポートを提出する際に必要な書類を添付し忘れたり、メールの宛先を間違えたりするのを繰り返してしまうこともあります。

■ASDの場合

ASDのある方は、自分の興味やルーティンに対してこだわりが強く、他人の視点や感情に気づきにくい傾向にあります。

そのため、自分の間違いが認められず、改善策も考えられないといったことから、同じ失敗を繰り返すケースが多いです。

また、ルーティン化された行動に安心感を得る傾向にあるため、新しい挑戦には苦手意識を持っています。変化への対応が苦手で柔軟性に欠けるため、同じ失敗を繰り返してしまうのです。

集中力が続かない

仕事中、集中力が続かない点も、ADHDとASDに共通する困りごとです。しかし、集中力が続かない原因はそれぞれ異なります。

ここでは、集中力が続かない原因について、それぞれの違いを解説します。

■ADHDの場合

ADHDの特性となる注意欠如や多動は、集中力が続かない大きな原因といえます。興味や関心の対象がどんどん変わるため、同じ作業を続けるのは苦手です。

興味がないことに関しては特に集中力が続かず、気が散りやすい傾向にあります。そのため、タスク管理や同じ作業を繰り返し行う仕事は不向きな場合が多いです。

また、同じ場所でじっとしているのが苦手なケースもあります。

■ASDの場合

ASDの特性として他人の話に興味を持ちにくいことが挙げられます。話の流れについていけず、ニュアンスを感じ取ることが苦手な結果、集中力がないと判断されてしまうケースがあります。

また、環境や状況の変化に敏感でストレスを感じやすいことも、集中力が途切れる原因となります。

自分のこだわりや興味以外には無関心で、拒否反応を示す場合もあります。ただし、興味があり好きなことに関しては、集中して取り組み続けることも可能です。

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ADHDとASDの困りごとの原因の違い②対人関係

ADHDやASDのある方は、人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ傾向もあります。

  • ・空気が読めない
  • ・他人との適度な距離感がわからない

ここでは、対人関係においてよくある困りごとの原因を、それぞれ見ていきましょう。

空気が読めない

ADHDやASDのある方は、相手の感情やニュアンスを読み取りにくい傾向にあります。しかし、特性によって原因も異なります。

ここでは空気が読めない原因について、それぞれの違いを解説します。

■ADHDの場合

ADHDのある方は注意欠如や衝動性により、他人の気持ちや状況に配慮する前に、頭に浮かんだ言葉をすぐに口に出してしまうことがあります。

例えば、人の話をさえぎって自分の話をしたり、相手の都合を考えず一方的に話を続けたりしがちです。そのため無意識に相手を傷つけたり、場の雰囲気を壊してしまったりといった点が、空気が読めないと見られてしまう原因にもなります。

また、多動性や注意の散漫から、会話に飽きたり話題が合わないことを言ったりすることも、よくあるケースです。

■ASDの場合

ASDのある方は、言葉や表情、ニュアンス、皮肉などを理解しにくいため、話題に対応できず周囲から「空気が読めない人」と受け取られがちです。

相手の気持ちを考えようとするものの、他人の感情や考え方を推測することが苦手なため、意図せず失礼な発言をしてしまう場合もあります。

また、会話の流れや話題が変わるとついていけない場合も多く、話に関係ないことを一方的に話し始めてしまうケースも見られます。

他人との適度な距離感がわからない

ADHDやASDのある方は、ともに相手との距離感がつかみにくい傾向にあります。ここでは人に馴れ馴れしくしてしまう原因について特性ごとに解説します。

■ADHDの場合

ADHDのある方は、自分の思いつきに従ってとっさの判断で行動してしまい、相手の立場や気持ちに配慮できず不快感を与えてしまう場合があります。

また、多動や衝動性のために社会的なルールやマナーを守ることができず、初めての人にも馴れ馴れしくしてしまい、相手に距離を置かれてしまう場合もあります。

■ASDの場合

ASDのある方は、人の気持ちや考え方を推測するのが難しいため、知らない人にも馴れ馴れしくしてしまう場合があります。

例えば、初対面の人や職場の先輩にタメ口を使ったり、プライベートな質問を投げたりといったケースです。

しかし、実際にはコミュニケーションの取り方が分からないだけであり、本人に失礼なことをしている自覚が全くないこともあります。

ADHDとASDの困りごとの原因の違い③計画性と整理整頓

ADHDとASDともに共通する計画性と整理整頓に対する困りごとも、特性によって原因に違いがあります。

  • ・計画性がない
  • ・整理整頓ができない

ここでは、計画性と整理整頓における困りごとの原因を、それぞれ見ていきましょう。

計画性がない

ADHDとASDに共通する特徴として、自分の行動を予測して計画的に物事を進めるのが苦手という点があげられます。ここでは、計画性がない原因とその違いについて、それぞれ解説します。

■ADHDの場合

ADHDのある方が計画性に欠けるのは、目標に向けての継続的な行動が難しいことが原因です。

目標を立てたとしても途中で忘れてしまう、急に飽きてしまうなどの可能性があります。

例えば、予定やスケジュールを立てていてもそれ通りに進められない、やるべきことを先延ばしにして、大切なイベントの申し込みや締切日を忘れてしまうケースなどがあります。

■ASDの場合

ASDのある方も、こだわりの強さなどが影響し、物事の見通しをたてたり、計画的に進めたりすることが苦手なことが多いです。

自分の好きなこと、または決めたルールに固執し、状況が変わった場合に対応することがうまくいきません。

計画通りに物事を進めるのは得意ですが、急な予定変更には対応できず、パニックに陥るケースもあります。決して、わがままな性格というわけではなく、ASDの特性が原因です。

整理整頓ができない

ADHDとASDは、ともに整理整頓が苦手です。しかしその原因には違いがあります。ここでは、それぞれの特性からくる違いを見ていきましょう。

■ADHDの場合

ADHDのある方は、注意力が散漫になりやすく物事に集中できません。そのため、無意識に物を置いてしまう傾向にあります。

何度も物の置き場所を忘れたり、散らかしたままだったりすることが比較的多いです。

結果として探し物が多くなり、計画性や優先順位付けを苦手とする特性から、整理整頓に時間を割きにくいのが特徴です。

■ASDの場合

ASDのある方は、自分の興味に関してはこだわりが強く没頭するものの、他のことには関心が薄い傾向にあります。

そのため、整理整頓をものすごく上手にできる方もいる一方で、物の整理整頓に時間や労力を割くことに関して苦痛を感じる方も多いです。

物事に対する感覚過敏や執着の影響により、特定の場所に物を置かないと不安になることもあります。また物に対する思い入れが強いため、処分することも苦手です。

ADHDとASDについて相談できる機関

ADHDやASDなどの発達障がいに関する悩みは、お住まいの地域にある下記の機関で相談できます。

  • ・発達障がい者支援センター
  • ・相談支援事業所
  • ・障がい者就業・生活支援センター
  • ・就労支援事業所

それぞれ解説します。

発達障がい者支援センター

発達障がいのある方とその家族が豊かな地域生活を送れるよう、総合的な支援を提供しています。保健・医療・福祉・教育・労働など各関係機関と連携し、指導や助言を行います。

相談支援事業所

障がいのある方が、自立した日常生活や社会生活を送れるよう支援します。数多くある福祉サービスをうまく利用するためのサポートや相談などの支援を行っています。

障がい者就業・生活支援センター

障がい者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障がい者の身近な地域において就業面および生活面における一体的な支援を実施しています。

就労支援事業所

就労を目指す障がいのある方のために、職業訓練プログラムなど就職に関する支援を幅広く実施しています。就労支援事業所では、下記のような福祉サービスを提供しています。

  • ・一般企業等への就職をサポートする「就労移行支援」
  • ・一般企業等で働くことが難しい方に就労の機会を提供する「就労継続支援(A型・B型)」
  • ・就職後、職場に定着できるようサポートする「就労定着支援」

参照:厚生労働省「障害福祉サービスについて」

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ADHDとASDに関して、受診や相談する際のポイント

ADHDやASDなどの発達障がいについて、病院を受診したり専門機関に相談したりする際には、前もって以下のことを準備しておくことがポイントです。

成育歴などの情報を整理しておく

受診前に以下の情報を整理しておくといいでしょう。

  • ・成育歴(子どもの頃の様子)
  • ・大人になってから職場や社会での暮らしに適応できているか
  • ・どのような困りごとがあるのか
  • ・不眠やうつ症状がないか など

発達障がいの特性は、小さい頃の言葉や運動の発達の遅れ、独特な感性や反応など、子どもの頃から現れているとされています(むしろ、大人になると環境への適応によって、少し特性がやわらいでいることもあります)。そのため、幼少期や学生時代の様子は大きな判断材料となります。

幼少期のことは養育者(親など)に聞いて確認するか、面談の際に同伴してもらうとよいでしょう。母子手帳や成績表(通知表)なども可能な限り用意しておきましょう。

また、子どもの頃や大人になってからの困りごとについても整理しておきましょう。

受診予定の病院などのセルフチェックシートを活用する

インターネット上のセルフチェックシートなどを活用して、事前にセルフチェックが可能です(受診予定の病院などで提供されていることもあります)。セルフチェックを行うことで、自分の特性や困りごとを整理できます。

ただし、チェックリストで当てはまるものが多かったとしても、必ず発達障がいであると診断されるわけではありません。

発達障がいは、幼少期~現在の様子や面談、心理検査の結果などを総合的に見て、医師が診断します。ご自身を理解しようとする姿勢はとても大切ですが、自己診断で完結することは避けましょう。

参照:大人の発達障がいナビ「発達障がいセルフチェック」

ADHDとASDの違いを知って、より特性に合った仕事を見つけよう

自分がADHDなのか、ASDなのかを正しく診断するためには、専門家に委ねることが大切です。特性が似通っているため、自己判断は難しい点は押さえておきましょう。

また、ADHDとASDの特性によって、就職や転職ができないのでは…と不安になる方も多いでしょう。一人で悩まず、まずは就労移行支援事業所に相談してみてください。

就労移行支援事業所の「ココルポート」では、電話相談を受け付けています。仕事に関して悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。

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西原 浩司(にしはら こうじ)

医学博士(慶応義塾大学)、精神科専門医・指導医、認定産業医
長崎大学病院精神科神経科助教、日本学術振興会特別研究員、慶応義塾大学医学部助教(生物学教室)を経て、現在は沖縄県の天久台病院を中心に精神科診療に従事。
その傍ら、慶応義塾大学医学部訪問研究員としてiPS細胞をもちいた精神疾患の基礎研究を行っている。また複数大手企業の産業医として漢方や鍼灸、栄養学的な情報「心とカラダの予防医学」を目指して活動中。

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ご自身にあてはまる課題やお悩みをクリックするとご提案の例が表示されますのでぜひご参考にしていただければと思います。
チャレンジすることに不安があるかもしれませんが、Cocorportは「失敗できる場」なので、ぜひいろいろなことにチャレンジしていただければと思います。

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